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歌田明弘著『ネットはテレビをどう呑みこむのか?』アスキー新書

10 月 26th, 2008

p.9

ネットという直接民主主義的な装置によって、ポピュリズムは確実に増幅される。もう10年すると、それがどういうことに行き着くのかは、さらによく見えているかもしれない。とはいえ10年後に、社会に致命的なダメージをあたえていなければよいのだが。

p.87

見返りを求めることなく制作し喜んで無料公開する大量の人がいて、そうしたコンテンツを集積したサイトが人気が出るというウェブ2.0の状況からすれば、ネットでは、コンテンツの制作側よりもコンテンツを流通させる企業の方が立場が強くなるのは当然だろう。

p.212

手間ひまのかかる一次情報の社会的価値と経済的価値の乖離はどんどん大きくなっている。社会的価値は変わらないものの、経済的価値が急速に下落し始めた。この矛盾は解消されるどころか、これからますます顕著なものになっていくだろう。

p.241

ネットがより浸透しパワーを増したとき、情報発信者でもある読者の「圧力」はいよいよ増す。しかも、多数派が常に正しいとは限らない。よく言われるように、間接民主主義はまだるっこしい感じがする一方、首長を直接選べる制度と比べて、国民の一時の感情によって大きく動くことはなく安定性が高いと考えられる。クッションが効くわけだが、ネットという直接民主主義的な場にあがったマスメディアは、仮借なく、そしてときに感情的な読者の反応にダイレクトにさらされることになる。経営基盤さえ危うくなりかねないこうした事態に、ほんとうにマスメディアは耐えられるのだろうか。

p.246

メンバー同士がコミュニケーションを図り、お互いから学ぶことで集団の利益になる場合もあるが、過度に密接なコミュニケーションは逆に集団の賢明さを損なう。
(スロウィッキー)

p.250

これまでのメディアは、権力といかにして戦うかが大きなテーマだった。しかし、これからはそればかりでなく、強力な情報発信力と影響力を持ち、感情的な反発もときに示すネット世論とどういう距離をとるかが、メディアでも個人の情報発信者でも同じぐらい重要なことになってきつつあるのではないか。

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エリック・シンク著『革新的ソフトウェア企業の作り方』翔泳社

10 月 8th, 2008

p.9

我々が潜在的に年間3百万ドルになるマーケットを検討しているとしよう。大きなベンダにとってはこのような小さなマーケットは追いかけることを検討すらできない。彼らの時間に値しないのだ。しかし年間3百万ドルの収入というのは、社員が15〜30人の小さな会社であれば十分支えることができる。このニッチにはチャンスがあり、誰かがそこに素敵な会社を作ることだろう。

p.10

それから、小さな会社は優れた製品によって顧客にサービスするという基本に集中しやすいということがある。ベンチャーキャピタルや4半期ごとの決算に対する期待といったことにより気を散らされることがない。よく見もしないで小さな会社を軽視したりしないことをお勧めする。

p.61

読書というのは自分の問題の答えを見つける場所ではない。そうではなく、読書は自分で答えを見つけるのに役立つバックグラウンドを身につけるための方法なのだ。

p.71

私が学んだことの1つは、小さなISVはプログラマを雇うべきではないということだ。
(中略)
“プログラマ”(コードを書くことに特化した人)ではなく、必要なのは”開発者”(製品の成功のためにたくさんの面で貢献する人)なのだ。

p.75

そのような広範なスキルセットを持った開発者は簡単には見つからないのでは?
そのとおり。本物の開発者というのは貴重なものだ。たぶん外から雇ってくることはできない。自分のところにいるプログラマたちが開発者へと変わっていけるように手助けしてやる必要がある。
ひとたび彼らが開発者へと変わったなら、彼らを会社に引き留めておくために多大な努力をする必要があるだろう。そうしなければ、彼らは大会社でマネージャになるか、あるいは自分の会社を立ち上げることだろう。

p.145

ジム・バークスデールの競合選択の考え方が私は好きだ。バークスデールというのはNetscapeのCEOだった人だ。彼は、一番良いアプローチは「大きくて無能な」競合を見つけることだと言っている。

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小川浩著『フィードがグーグルの世界制覇を阻止する!』ビジネス社

9 月 15th, 2008

p.42

ウェブの理想は、世の中の99.99%の人には価値のない情報でも、その情報を必要とする0.01%の人へ確実にいきわたるデータベースの構築であり、実際にその方向に向かっている。

p.52

しかしながら、あまりにも簡単に誰もがウェブ上に情報を書き込めるようになった弊害もあるにはある。たとえば若い女性が書いているようなブログだと、写メールで撮影したらしい自分の笑顔の写真に添えて、一言「ウキャッ!」と書かれているだけだったりする。これを私は「ウキャブログ」と命名したのだが、こんな意味のない内容ばかりがずらずら並んでいるブログは決して珍しくない。

p.55

ブログ自体はこれからも増えていくだろうし、「ウキャブログ」が悪いわけではない。ただ、更新されてしまえばまったく無価値になり、二度と誰も見ない情報が、毎日莫大な量で蓄積されているのがいまのウェブの現状である。逆に言うと、こうした情報そのものを検索対象から省くのか、省かないのか、ということも今後は情報のSN比(シグナルノイズ=自分とは関係のない、雑音的な情報の流入)を下げることの大事な要件になるだろう。

p.154

その点、フィードは、どのような情報を発信するか、どのような情報を受け取るかの選択の権限がユーザーに与えられており、それを誰かが裏で誘導することもできない。すなわち、ユーザーがそれぞれ投票権を持っていて、自分の認めた者に票を入れることで、純粋に多くの支持を受けた情報発信者が選ばれるという、より民主的なモデルに進化する期待があることを意味している。

p.156

もともとコミュニケーションとはそういうもので、世界中のウェブサイトの中から、自分の好みのものを選ぶという多面的な広く浅いコミュニケーションの段階はウェブが適していたが、好みのものが見つかったら直線的なコミュニケーションになっていく。
いまは両方ともウェブが担っているが、ウェブは直線的な通信が苦手である。そこで、直線的な通信の分野はフィードが担当し、コミュニケーションをさらに先鋭化する方向へと向かうことになる。そしてウェブは、アーカイブとして情報をどんどん溜め込んで拡大していく方向に発展し、両者の進む道はきれいに分かれていくことになるだろう。

p.173

すると、ポータル化することによってページビューを集め、広告をとるというビジネスモデルがだんだん機能しなくなる。なくなってしまうわけではないが、ポータルの利用が低下すれば広告価値も減退する。そこで、今度はフィードに広告を載せようということになっているけれども、フィードは広告を外して見ることができる。好き好んで広告を見ている人は少ないので、広告を外して情報だけを見られるのなら多くの人がそうするようになる。いずれにしても、広告モデルはいまほどの支配的な力を持たなくなるのだ。

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『WEB+DB PRESS vol.46』技術評論社

8 月 27th, 2008

p.13

よくギークとスーツとか言って対立軸をおもしろおかしく言う人がいるじゃないですか。それは大間違いで、ギークもスーツも一緒なんですよ。単にAさんとBさんで共通のコミュニケーションのボールをもっていないだけで、どっちも優れたギークで、優れたマネージャーであれば、そこにどうにかコミュニケーションの共通するものを発見しようとするわけですよ。どっちも理解不能であるとすれば、どっちもコミュニケーションができないという悲しい現実を言ってるだけで、私はギークもスーツも対立するものではなくて、一緒に違う仕事ができるパートナーだと思っています。
(ミラクル・リナックス吉岡弘隆氏)

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小川浩/林信之著『アップルとグーグル』インプレスR&D

5 月 15th, 2008


p.30

「今」という時点の常識に、あまり縛られすぎると、自由な発想ができなくなる。モノのカタチも、サービスのあり方も、しょせんは過去に誰か他の人間が決めたその時点での決定だ。後から覆そうと思えば、いくらでも覆せる。本当にいい決断をするには「今の時点」の常識に捉われず、本来どうあるべきかを根本から考える必要がある。

p.34

他社との比較を出発点にしたのでは、大きな飛躍のある製品や、本質的に素晴らしい製品、根本的に違う製品を生み出すことはできない。本当にいい製品をつくりたければ、向かうべき相手は他社ではなく、自社のほうだ。製品の本質をよく検証した上で、それに対して自社の強みをどう生かせるかを考えるべきなのだ。

p.101

アップルは自社のブランド価値に依存し、それを事業の源泉にしているのである。

p.171

日本のベンチャーであれば、IPOを目指してユーザー数やページビューにこだわるあまりに、テクノロジーではなくビジネスモデルだけで勝負したり、実際の売り上げにつなげようと受託開発に走るしかない場合が多過ぎる。だから、ビジネスモデルもテクノロジーも、人真似にならざるを得ないのである。

最後の引用箇所は「だから」からちょっと飛躍している感がありますが。「本質的にいい製品」を生み出していないように思われるということでしょうか。

あまり関係ありませんがこの本、カバーがベタベタして不快だったのではずしてしまいました。なんとかならなかったのでしょうか…。

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齋藤孝/梅田望夫著『私塾のすすめ』ちくま新書

5 月 14th, 2008


p.122

三年、五年勤めたら、そこで経験したものが、もう一人の自分としてのアイデンティティになります。そうしたら、勤めた経験が次への自信になるということもあるわけです。そういう意味では、一回もぐってみて、そこで少なくとも、一つアイデンティティを獲得してくる。その期間をある程度自分で設定するというのがコツかなと思います。
(齋藤氏)

p.145

僕が「好きなことを貫く」ということを、最近、確信犯的に言っている理由というのは、「好きなことを貫くと幸せになれる」というような牧歌的な話じゃなくて、そういう競争環境のなかで、自分の指向性というものに意識的にならないと、サバイバルできないのではないかという危機感があって、それを伝えたいと思うからです。
(梅田氏)

p.155

つまり、「読書とは何か」と考えたときに、「知」というものを頭の中に入れ込んで記憶して、それを人に伝えるとかひけらかすとか、どっちが物知りか比べるみたいなことだと、グーグルにどうせ負けてしまう。ある程度の基礎力は必要だけれど、それ以上のところの読書の意味として「心で読む読書」を心がけて、自分の生きる糧として知を使ってほしいです。
(梅田氏)

p.166

「幸福感」というものがもしあるとすると、僕は、「自分のスタイルはこれなんだ」と感じられるというのが、幸福感の大きな要素だと思います。
(齋藤氏)

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須田将啓・田中禎人著『謎の会社、世界を変える。エニグモの挑戦』ミシマ社

5 月 6th, 2008


p.134

ビジネスとしてうまくいかせることがいかに重要か。
理念や理想も大事だが、商売がうまくいかなければそんなこと言ってる余裕がない。

p.164

「アイディアだけではどうにもならない。それを具体化できるか、実現できるかどうかが重要なんだ」

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梅田望夫著『ウェブ時代 5つの定理』文芸春秋

3 月 6th, 2008


p.65

アントレプレナーシップを支える「常軌を逸した熱」は、「やりたいことをやる」という気持ちと「社会をより良くしたい」という思いの組み合わせによって持続します。お金が最優先事項では、長期に渡ってそういう熱が持続しません。(中略)倫理性と経済性が融合したシリコンバレーのそんな独特な論理が、仕事の面白さを倍増させ、「働く意欲」の強い源になっているのです。

p.72

日本の場合、「チームワーク」という概念に、「優秀な個」という前提が自動的にはビルトインされていないところが落とし穴だと思います。

p.230

私はここ数年ずっと、「ネット世界とは学習の高速道路なのだ」というネット観について考えてきました。おそらくこのまま十年が経過すると「学習の高速道路」の充実度は、言語圏によって大きく異なってきます。

p.260

どれほどの数の人がいても、一人ひとりの個性や経験や環境はすべて異なります。さまざまな個性や志向性を組み合わせていけば、「自分がやらない限り世に起こらないことをする」ことは必ずできる。これは誰にも開かれた考え方で、それがフラット化するこれからの時代に、仕事の上でコモディティ化しないための心構えだとも思うのです。

ひとこと。
よく職場などで「自分の強みがわからない」「自分には強みがない」などと言う人がいますが、それはその環境に期待されている(と思っている)尺度に自分をあてはめてしまっているからではないか。
もっと自由に、自分の個性を膨らませてみれば、自分の強みとして捉えることができるんではないか。
最後の引用箇所を読んで、そんなことを感じました。

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