羽生善治著『決断力』角川oneテーマ
p.69
物事を進めようとするときに、「まだその時期じゃない」「環境が整っていない」とリスクばかりを強調する人がいるが、環境が整っていないことは、逆説的にいえば、非常にいい環境だといえる。リスクを強調すると、新しいことに挑戦することに尻込みしてしまう。リスクの大きさはその価値を表しているのだと思えば、それだけやりがいが大きい。そちらに目を向ければ、挑戦してみようという気持ちも起きてくるのではないだろうか。
p.71
決断とリスクはワンセットである。日本の社会は、同質社会ということもあって、このバランスが悪いと思う。リスクを負わない人がいる一方で、リスクだけ負わされている人がいる。決断を下さないほうが減点がないから決断を下せる人が生まれてこなくなるのではないか。目標があってこその決断である。自己責任という言葉を最近よく聞くが、リスクを背負って決断を下さす人が育たないと、社会も企業も現状の打破にはつながらないであろう。
p.102
舞台が大きくなればなるほどプレッシャーも大きくなる。私も対局でプレッシャーを感じることがあるが、そういうときには、意識的に、「プレッシャーはその人の持っている器に対してかかるものだ。器が大きければプレッシャーを感じることがないはずだ」と言い聞かせている。
p.167
才能とは、継続できる情熱である
p.188
プロになると「一番楽しかった将棋が一番苦痛になってくる」といわれる。確かに、プロになれば趣味としての楽しさがなくなり、当然、苦しみも出てくる。だが、趣味としていたら多分知ることのなかった将棋の奥深さを味わえるということもある。