齋藤孝/梅田望夫著『私塾のすすめ』ちくま新書
p.122
三年、五年勤めたら、そこで経験したものが、もう一人の自分としてのアイデンティティになります。そうしたら、勤めた経験が次への自信になるということもあるわけです。そういう意味では、一回もぐってみて、そこで少なくとも、一つアイデンティティを獲得してくる。その期間をある程度自分で設定するというのがコツかなと思います。
(齋藤氏)
p.145
僕が「好きなことを貫く」ということを、最近、確信犯的に言っている理由というのは、「好きなことを貫くと幸せになれる」というような牧歌的な話じゃなくて、そういう競争環境のなかで、自分の指向性というものに意識的にならないと、サバイバルできないのではないかという危機感があって、それを伝えたいと思うからです。
(梅田氏)
p.155
つまり、「読書とは何か」と考えたときに、「知」というものを頭の中に入れ込んで記憶して、それを人に伝えるとかひけらかすとか、どっちが物知りか比べるみたいなことだと、グーグルにどうせ負けてしまう。ある程度の基礎力は必要だけれど、それ以上のところの読書の意味として「心で読む読書」を心がけて、自分の生きる糧として知を使ってほしいです。
(梅田氏)
p.166
「幸福感」というものがもしあるとすると、僕は、「自分のスタイルはこれなんだ」と感じられるというのが、幸福感の大きな要素だと思います。
(齋藤氏)