三浦展著『下流大学が日本を滅ぼす!』ベスト新書
p.78
ところが日本のマーケティング業界のおバカさんたちが、大学教授も含めてだけど、自分たちが仕事をしていることを証明するために(としか思えないけど)、すぐにアメリカから新しい概念を輸入するんだね。で、ナントカ経営協会とかがセミナー開いたりして、顧客満足度が大事だって騒いだんだ。それでやたらと起業が顧客満足度調査なんかをするようになったもんだから、消費者がそれまでは別にどうでもいいやって我慢していたことでも、不満をなくしましょうってことになって、重箱の隅をつついたような改善活動をするようになった。それが消費者のクレーマー化を助長したんだと思うね。
p.123
本を読んだり、考えたりすることでそのブランクを埋めることができる。自分の実体験が不足している分、読書や思索によってその不足を補う、あるいは実体験を上回ることができる。そういう人間こそが大学で学ぶにふさわしい人間だ。言い換えれば抽象的なことが考えられる、自分の実体験だけじゃなくて、一般的、普遍的なことを考えられる。そういう人間が大学で勉強すればいいのだし、大学が育てるべき人間はそういう人間だし、大学が入学させるべき人間の基準はそういう人間かどうかということだろう。
p.219
そうやって学校の教師は疲弊しているんだと思う。そんなことより、落ち着いて勉強を教えることに専念させてやらないとかわいそうだと思うよ。塾の先生は教えることに専念できるから教え方がうまいだけで、学校の先生が教える能力が低いわけじゃないと思う。