Peter Merholz, Bandon Schauerら著『Subject to change』オライリー・ジャパン

p.3

現代の市場で成功する鍵は、顧客との関係を根本的に改めることにある。顧客を消費者であると考えるのをやめ、人間として関わり始めると、顧客のニーズや要求に応えるためのまったく新しいチャンスが見えてくる。

p.5

イーストマンは、自分がみんなに届けたい「体験」に注目すれば、このロールフィルムが革命を起こせることに気づいていた。それがイーストマンの宣伝文句に込められた体験、「あなたはボタンを押すだけ、あとはおまかせください」である。

p.6

アジアへの生産シフトによって製造コストは急落した。機能や特徴を追加しても価格が大きく上がることはなく、消費者は多くのことをする製品が良い製品であると考えるようになった。しかし、今やこうした信仰体系が極限状態に達しつつある。消費者が、どこも壊れておらず正しく動作している商品を、複雑すぎて使えないからといって返品する、といったことが頻繁に起きるようになったのだ。

p.14

何十年もの間、企業はライバルに対する優位を保つため、あるいは差を広げるために、テクノロジーや機能、最適化の手段を追い求めてきた。しかし、この種のことだけに投資することの価値はもはや存在しない。自社の製品やサービスによって顧客が得る体験こそが、真の差別化要因であり、この変化し続ける世界で、探求して取り入れるべき戦略なのである。

p.16

他のみんなが習得したことの上達を目標にすることを戦略とは呼ばない。戦略とはトレードオフ−意識的にライバルと違う戦術を選ぶことだ。戦略とは、何かにノーということによって他人より優位に立つことを意味する。そして、この戦略的トレードオフの結果が、顧客の心の中で明確に際立つ製品とサービスであり、その価値ある違いは簡単には真似ができない。

p.21

顧客が気にするのは体験だけである。これを念頭に置いておくことは、製品チームにとっては難問であり、だからこそ多くのチームが製品の詳細な技術的なことで脱線するのだ。

p.72

理想的な顧客体験を届けるためには、単に商品を売るだけでなく、継続的に顧客と関係を築く必要があることにイーストマンは気付いていた。これはイーストマンがコダックカメラを一つの製品としてではなく、サービスの一要素として考えていたことを意味する。

p.121

デザインとイノベーションに関する大きな誤解の一つに、すばらしいアイディアは誰か賢い人の頭に降って沸き、すぐにそれが答えに変わるという考えがある。スコット・バークインが著書『イノベーションの神話』の中でこの神話を暴いている。

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