児玉光雄著『イチローはなぜ打率ではなくヒット数にこだわるのか』晋遊舎

p.28

イチロー選手はこう語っています。
「僕の中のスランプの定義というのは、『感覚をつかんでいないこと』です。結果が出ていないことを、僕はスランプとは言わないですから」

p.34

「人は目標や夢を達成することを成功と言うが、それは間違っている。夢や目標時に向かって起こす行動そのものを成功というのだ」
(ジョン・マクスウェル)

p.44

ほとんどの人が自分の潜在能力を過小評価しています。あなたの描く自己イメージは大抵の場合、過去にあなたが体験した事実により組み立てられています。これが等身大の自分に安住する心を育て、モチベーションを低下させています。
つまり私たちのモチベーションの低下の大きな要因は、過去の人生の延長線上で生きることに飼い慣らされてしまっていることなのです。

p.49

あなたの夢をできるだけ具体的に視覚化してください。あるいはあなたの過去に実際に起こった「最高の瞬間」を繰り返しイメージする習慣をつけましょう。

p.70

失敗をすることが予見できたとき、人間は自分の努力や才能といった内的要因のせいにすることを避けようとするため、行動する前に「調子が悪い」とか、「自分に向いていない」といった言い訳を考えてしまうのです。これを心理学用語で「自己ハンディキャッピング」と呼んでいます。

小川浩/林信之著『アップルとグーグル』インプレスR&D


p.30

「今」という時点の常識に、あまり縛られすぎると、自由な発想ができなくなる。モノのカタチも、サービスのあり方も、しょせんは過去に誰か他の人間が決めたその時点での決定だ。後から覆そうと思えば、いくらでも覆せる。本当にいい決断をするには「今の時点」の常識に捉われず、本来どうあるべきかを根本から考える必要がある。

p.34

他社との比較を出発点にしたのでは、大きな飛躍のある製品や、本質的に素晴らしい製品、根本的に違う製品を生み出すことはできない。本当にいい製品をつくりたければ、向かうべき相手は他社ではなく、自社のほうだ。製品の本質をよく検証した上で、それに対して自社の強みをどう生かせるかを考えるべきなのだ。

p.101

アップルは自社のブランド価値に依存し、それを事業の源泉にしているのである。

p.171

日本のベンチャーであれば、IPOを目指してユーザー数やページビューにこだわるあまりに、テクノロジーではなくビジネスモデルだけで勝負したり、実際の売り上げにつなげようと受託開発に走るしかない場合が多過ぎる。だから、ビジネスモデルもテクノロジーも、人真似にならざるを得ないのである。

最後の引用箇所は「だから」からちょっと飛躍している感がありますが。「本質的にいい製品」を生み出していないように思われるということでしょうか。

あまり関係ありませんがこの本、カバーがベタベタして不快だったのではずしてしまいました。なんとかならなかったのでしょうか…。

齋藤孝/梅田望夫著『私塾のすすめ』ちくま新書


p.122

三年、五年勤めたら、そこで経験したものが、もう一人の自分としてのアイデンティティになります。そうしたら、勤めた経験が次への自信になるということもあるわけです。そういう意味では、一回もぐってみて、そこで少なくとも、一つアイデンティティを獲得してくる。その期間をある程度自分で設定するというのがコツかなと思います。
(齋藤氏)

p.145

僕が「好きなことを貫く」ということを、最近、確信犯的に言っている理由というのは、「好きなことを貫くと幸せになれる」というような牧歌的な話じゃなくて、そういう競争環境のなかで、自分の指向性というものに意識的にならないと、サバイバルできないのではないかという危機感があって、それを伝えたいと思うからです。
(梅田氏)

p.155

つまり、「読書とは何か」と考えたときに、「知」というものを頭の中に入れ込んで記憶して、それを人に伝えるとかひけらかすとか、どっちが物知りか比べるみたいなことだと、グーグルにどうせ負けてしまう。ある程度の基礎力は必要だけれど、それ以上のところの読書の意味として「心で読む読書」を心がけて、自分の生きる糧として知を使ってほしいです。
(梅田氏)

p.166

「幸福感」というものがもしあるとすると、僕は、「自分のスタイルはこれなんだ」と感じられるというのが、幸福感の大きな要素だと思います。
(齋藤氏)

齋藤孝著『天才になる瞬間』青春出版社

p.17

自分の中に蓄積された情報を、自分なりに再編集し、他の人にはマネのできない自分だけのスタイルで”かたち”にする。その方法をつかんだときが、”ブレイクスルー”の瞬間なのです。

p.20

才能には個人差があります。いまから一般の人が、イチローやモーツァルトを目指してみても、残念ながら彼らとは蓄積してきたものに差がありすぎます。いわゆる「器が違う」ということ。
でも、自分の器なりに、器を大きくしていきながら、いずれは周囲から自分を天才と認めさせることは決して不可能ではありません。

p.35

〈創造というのは記憶ですね。自分の経験やいろいろなものを読んで記憶に残っていたものが足がかりになって、何かが創れるんで、無から創造できるはずがない〉
(黒澤明)

p.39

しかし、創造性の源となる”トビウオ”は、情報そのものではなく、情報に伴う脳の働きや心の動きなのです。その気まぐれなトビウオをキャッチできるのは、ありのままを写し取ってしまうハイテク機器よりも、一度自分の脳というフィルターを通して文字に変換されるメモというローテクのノウハウのほうが優れているのです。

p.45

一日に一枚しか書けなくても、一年かければ、三百六十五枚のシナリオが書ける。
(黒澤明)

久手堅憲之著『日本のソフトウェア産業がいつまでもダメな理由』技術評論社

p.39

プロジェクトのあり方をよりよくするためには、組織が積極的な役割を果たすことが欠かせないはずだ。これはつまり、提供するサービスの品質を組織としてどう考えるかという問題に他ならない。

p.140

筋の通ったITを整備しなくてはならない企業や組織は、実は従来型の産業の中に多いのではないのかという疑問がある。さらに、IT系として世間でもてはやされている企業にとって、それほどITが重要なのだろうかという疑問もある。

p.144

IT業界の寵児と呼ばれた急成長企業は、実は金融業と呼ぶべき仕事をしている。技術屋のはずのソフトウェア開発企業も、実は人材斡旋業にシフトしている。だとすると、日本にIT企業はいなくなっているのだろうか。
(中略)
現在の日本において真にIT企業と呼ぶべき企業とは、クリティカルな業務にITが切り離せなくなっている諸業種なのではないか。つまり、ダメITが、社会に多大な迷惑を及ぼしてしまうかもしれない業種・業態だ。

タイトルに「いつまでもダメな理由」とありますが、もちろん今後も「ダメ」でいいわけはありません。
他の産業でも同じかもしれませんが、大雑把に
・自分たちが提供している物(情報システム)やサービスに価値があるか
・それをきちんとビジネスにしているか
がますます問われていくことは間違いないと思います。

須田将啓・田中禎人著『謎の会社、世界を変える。エニグモの挑戦』ミシマ社


p.134

ビジネスとしてうまくいかせることがいかに重要か。
理念や理想も大事だが、商売がうまくいかなければそんなこと言ってる余裕がない。

p.164

「アイディアだけではどうにもならない。それを具体化できるか、実現できるかどうかが重要なんだ」

小飼弾著『アルファギークに逢ってきた』技術評論社

p.17

DHH「世界はもっとたくさんのソフトウェアが必要なわけではない、もっと少ないんです。」

DHHさんについては、4/19に行われたスタートアップスクールという講演内容など、共感できるところが多いです。(日本語での解説はこちらなどどうぞ。)

「必要なものはもっと少ない」のであれば、不必要なのに存在しているものはいったい何なのか。それは誰かの都合で存在しているものかもしれません。
自分の都合ではなく、自分の価値観からものを作っていきたい。そんな気がします。

大橋悦夫著『LIVE HACKS!』ゴマブックス

PASONA TECH主催のあすなろBLOGカンファレンスというイベントに参加し、その会場でいち早く入手できました。
大橋さんの著書は他にも読ませていただきましたが、この本は特に魅力的な文章になっているように感じました。
(この著書にも指摘がありますが、「関心するばかりで、あぁー面白かった!で終わってしま」っては意味がないのですが…。)

p.9

時間を「必要を満たす果実」と見なすのではなく、「必要を育てる畑」としてとらえ直すのです。従来の考え方が「時間果実」であったとしたら、この本では「時間畑」ということになります。時間果実が消費される時間なのに対して、時間畑は生産を旨をします。

p.33

「重要なことは、正しい答えを見つけることではない。正しい問いを見つけることである」(ドラッカー)

p.46

「神よ、変えるべきものをかえる勇気を、変えられないものを受け入れる落ち着きを、そして、それらを見分ける賢さを与えたまえ。」
(プロテスタント神学者ラインホルド・ニーバー氏)

p.182

遠くをはかる者は富み
近くをはかる者は貧す
それ遠きをはかる者は百年のために杉苗を植う。
まして春まきて秋実る物においてをや。
故に富有なり。
近くをはかる者は
春植えて秋実る物をも尚遠しとして植えず
唯眼前の利に迷うてまかずして取り
植えずして刈り取ることのみ眼につく
故に貧窮す。
(二宮尊徳)

p.185

「本来あるべき姿」が思い描けるようになると、どんな本からも、あるいはどんな人の話からも「仕事を楽しくするためのアイデア」の素が感じられるようになります。常に「どうすれば仕事を楽しくできるか」という質問が頭の中にうずまいているからでしょう。

p.209

もちろん、たくさんのチェックリストが得られる本もあれば、たった一つの質問さえ引き出せない本もあるでしょう。そうなると、本選びの基準がはっきりしてきます。それは、あなたにとって、その本は質問の素に富んでいるか、というものです。

羽生善治著『決断力』角川oneテーマ

p.69

物事を進めようとするときに、「まだその時期じゃない」「環境が整っていない」とリスクばかりを強調する人がいるが、環境が整っていないことは、逆説的にいえば、非常にいい環境だといえる。リスクを強調すると、新しいことに挑戦することに尻込みしてしまう。リスクの大きさはその価値を表しているのだと思えば、それだけやりがいが大きい。そちらに目を向ければ、挑戦してみようという気持ちも起きてくるのではないだろうか。

p.71

決断とリスクはワンセットである。日本の社会は、同質社会ということもあって、このバランスが悪いと思う。リスクを負わない人がいる一方で、リスクだけ負わされている人がいる。決断を下さないほうが減点がないから決断を下せる人が生まれてこなくなるのではないか。目標があってこその決断である。自己責任という言葉を最近よく聞くが、リスクを背負って決断を下さす人が育たないと、社会も企業も現状の打破にはつながらないであろう。

p.102

舞台が大きくなればなるほどプレッシャーも大きくなる。私も対局でプレッシャーを感じることがあるが、そういうときには、意識的に、「プレッシャーはその人の持っている器に対してかかるものだ。器が大きければプレッシャーを感じることがないはずだ」と言い聞かせている。

p.167

才能とは、継続できる情熱である

p.188

プロになると「一番楽しかった将棋が一番苦痛になってくる」といわれる。確かに、プロになれば趣味としての楽しさがなくなり、当然、苦しみも出てくる。だが、趣味としていたら多分知ることのなかった将棋の奥深さを味わえるということもある。

齋藤孝著『「加速力」で成功をつかめ!』草思社

p.124

禅の世界では、箸の上げ下ろしをはじめ、日常生活の些細なことすべてに非常に細かい決まりを設けている。これは「あらゆることに対し、意識的であれ」という意味だ。すべて意識的におこない、無意識に何かをしてはいけない。

p.152

リーダーの資質とは、突き詰めれば「なんとしてでもやる」という覚悟を見せることだけだ。細かいプラン等はメンバーが考えればいい。絶対に成功する、やり遂げるまでは終わらせないという自信と決意の発露がプロジェクトを引っ張っていく。その覚悟がなければ、プロジェクトは成功しないのである。

p.160

イチローさんは打率よりヒットの本数を目標に掲げる稀有な打者である。打率を気にすると必然的に数字が上下するため、一喜一憂することが増えてくる。そこで彼は、増える一方の本数で勝負するという意識を開発したのである。